横に座る女・・・

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夏休み 怪談第四弾

 

 

この話は第三弾で話した友人に聞いたものです。

 

彼はその日も夜中に家のクルマで運転の練習を

していたそうです。

 

その日はあてもなく適当に走っていたそうですが、

 

気がつくと川西能勢口駅の表示が見えて、

 

「あ、親戚のいるとこやな」と思いながら

その駅の下を通り過ぎたそうです。

 

そこからは住宅街に入ってしまって、

 

右に行ったり、左に行ったり、

 

時には行き止まりでバックしたりと、

 

免許取りたての初心者としてはストレスのかかるもの

だったそうです。

 

そうこうしているうちに完全に方向感覚を失って、

 

自分が北に向かっているのか南に向かっているのか、

 

どちらを向いて走っているのかがわからなくなったそうです。

 

それでも適当に思うがままに走っていると峠道に出たそうです。

 

右に行くと下っているのでおそらく大阪に帰る方、

 

左に行くと上がっているので山の中に入っていく方。

 

まだ大阪に帰るには早いなと思って

左に曲がって峠道を上がっていく方を選択したそうです。

 

最初は民家もちらほらあったそうなんですが、

 

だんだんとなくなっていき、

 

気持ち悪さが際立ってきました。

 

「気持ち悪いな、気持ち悪いな」と思いながら走っていて、

 

ふと横の窓を見ると人の顔が映っていて、

 

「ぎゃー」。

 

ブレーキを踏んだらクルマはギュンギュンいいながら

蛇行してなんとかガードレールの手前で止まりました。

 

すぐにもう一度横の窓を確認したら、

 

クルマのインナーパネルが映っているだけだったそうです。

 

「うわ~、怖い怖い思てるから何でもないことに

反応してしまってるやん。

 

あぶないなぁ、

 

もうちょっとでガードレール突き破ってるとこやったで」

 

と独り言を言いながら、

 

クルマをまた走らせ始めたそうです。

 

それでしばらく道なりに走らせていたそうなんですが、

 

なんか気になるので横の窓をもう一度見てみたんだそうです。

 

そうすると完全に人の顔が映っていて、

 

「えっ」と思って助手席の方を見ると女がこちらを

向いて座っていたそうです。

 

「ぎゃー」。

 

ブレーキを踏んだらクルマがギュンギュンいいながら

蛇行して道路から飛び出し、

 

工事現場の砂の山に乗り上げてバーンと止まりました。

 

すぐに助手席を確認したけどそこには誰もいなかったそうです。

 

それでも怖くて怖くて「うわ~うわ~」と叫びながらUターンして、

 

必死に車を走らせたそうです。

 

そして気がついた時には空が明るくなってきていて、

 

伊丹の空港近くを走っていたそうです。

 

 

 

 

これで私の怪談の持ちネタは全部終了です。

 

まだまだ暑い日が続きますが、

 

怪談話でもして涼しくお過ごし下さい。